環境とエネルギーの仕事
作業環境測定士(さぎょうかんきょうそくていし)とは?
作業環境測定士は、労働安全衛生法に基づく国家資格で、工場や研究施設などで空気中の有害物質・粉じん・騒音などを測定し、作業環境の安全性を科学的に評価する専門家です。 厚生労働省が所管し、一般社団法人労働安全衛生技術センターが試験を実施しています。 労働者が有害物質にさらされないよう、職場の空気や環境を定期的にチェックし、改善のための助言を行います。
作業環境測定士は、単に「空気を測る」だけでなく、測定結果を分析・評価し、必要な換気・防護・改善措置を提案するまでが業務範囲です。 測定対象には、有機溶剤、鉛、特定化学物質、粉じん、放射性物質などが含まれ、職場環境を「見えない危険」から守る国家資格者といえます。 測定データは労働基準監督署への報告や行政指導の根拠にもなるため、企業にとって欠かせない存在です。
資格には「第1種」と「第2種」があり、第1種はすべての有害物質・環境測定に対応、第2種は特定の測定区分に限定されています。 多くの測定士は、ビルメンテナンス会社、製造業、建設業、化学工場、環境コンサルタント会社などで活躍しています。 専門知識・分析力・倫理性の3つが求められる理系技術資格です。
作業環境測定士の試験概要
| 根拠法令 |
作業環境測定法に基づく国家資格です。 職場の空気環境(粉じん、化学物質、有機溶剤など)の測定を行い、 労働者が安全に働ける環境かどうかを評価します。 |
|---|---|
| 所管官庁 | 厚生労働省(試験は一般財団法人 作業環境測定協会が実施)。 |
| 受験資格 |
誰でも受験できる「第二種」と、実務経験または大学での専門課程修了が必要な「第一種」があります。 第一種は取り扱える測定項目(有機溶剤、金属、特定化学物質など)が広く、専門性が高いのが特徴。 |
| 試験内容 |
▼第二種(基礎) ・作業環境測定概論・関係法令・測定の基礎知識 ・実技(サンプリング操作・機器取り扱い) ▼第一種(専門) ・粉じん、有機溶剤、金属、特化物、酸欠などの各区分試験 ・区分ごとの実技および記述式問題 |
| 特徴 |
企業の衛生管理・工場の安全管理で必須となる専門資格。 労働衛生コンサルタントや衛生管理者と組み合わせると評価が高く、 製造業・化学プラント・研究施設での需要が安定しています。 |
作業環境測定士 Q&A
- Q. どんな仕事に役立つ資格?
-
工場や研究室などの空気環境を測定し、有害物質の濃度が基準値内かを判定する仕事に必要です。
労働者の健康障害防止に直結するため、衛生管理の中心的な役割を担います。 - Q. 第一種と第二種の違いは?
-
第二種は「測定全般の基礎技術」、第一種は「特定物質ごとの専門測定」です。
第一種を持つと企業内での評価が高まり、測定機関でも扱える業務範囲が広がります。 - Q. 難易度はどれくらい?
-
第二種は合格率30〜50%で、しっかり勉強すれば十分狙えます。
第一種は物理・化学の知識が必要で合格率10〜20%とやや難しめ。 - Q. どんな人に向いている?
-
理科が得意、測定機器の操作が好き、コツコツ正確な作業が得意な人に向いています。
工場・研究所・分析業務に興味がある人とも相性が良い資格です。 - Q. 採用で有利になる?
-
製造業、化学メーカー、金属加工、半導体工場、大学研究室などで高く評価されます。
安全衛生担当者を目指す人には必須級の国家資格です。
作業環境測定士が必要な職業/あると有利な職業
必ず必要な職業
- 衛生管理者(職場環境測定を行う場合)
あると有利な職業
公式情報/出典
- 厚生労働省「作業環境測定士試験 実施要項」
- 労働安全衛生技術センター 公式サイト
難易度: ⭐️⭐️⭐️ (難易度3)
※理系知識と分析技術が問われる国家資格。現場経験者に人気。


