計器飛行証明(けいきひこうしょうめい)

計器飛行証明(けいきひこうしょうめい)とは?

計器飛行証明とは、天候や視界の状態に関わらず、航空機を「計器飛行方式(IFR:Instrument Flight Rules)」で運航することを認める資格です。航空法第64条に基づく国家資格であり、すでに操縦士(自家用または事業用)の技能証明を持つ者が追加で取得することで、雲中飛行や夜間飛行など、視界不良の環境下でも安全に飛行できる能力を証明します。

通常、航空機の操縦は地上や地平線、目視による飛行(VFR:Visual Flight Rules)が基本です。しかし、悪天候や雲の多い状況では外部の目視が困難となるため、計器飛行証明を持つ操縦士はコックピット内の計器(姿勢指示器、高度計、航法装置、無線通信機器など)を頼りに正確な姿勢と位置を保ちます。このため、高度な判断力と計器操作技術が求められます。

計器飛行証明は、民間航空会社や自家用ジェットの運航を行うパイロットにとって必須資格です。航空会社の運航基準では、旅客機やビジネスジェットは原則として計器飛行方式で運航されるため、事業用操縦士とあわせて取得することが一般的です。訓練課程では、航空気象・航空法規・航法・無線通信・緊急操作などの専門知識に加え、実際にシミュレーターや訓練機を使ったIFR訓練を行います。

なお、資格は飛行機・回転翼(ヘリコプター)などの航空機区分ごとに発行されます。有効期間は2年間で、更新には定期的な技能審査(Proficiency Check)が必要です。計器飛行証明は、安全運航のプロフェッショナルとして信頼される証であり、航空分野では最も実務的価値の高い資格のひとつとされています。

計器飛行証明を取るために必要なこと・試験概要

根拠法令航空法 第64条、航空従事者技能証明省令
所管官庁国土交通省 航空局(JCAB)
受験資格操縦士技能証明(自家用または事業用)を保持し、指定教育機関で計器飛行訓練課程を修了した者
試験内容学科試験(航空気象・航法・航空法規・計器操作理論)および実地試験(シミュレーター・実機による計器飛行)
試験方式筆記+実地試験(技能審査)
合格率約75〜85%(訓練課程修了者に限る)
資格取得までの流れ操縦士技能証明を取得(自家用または事業用) 指定訓練機関で計器飛行訓練(IFRコース)を修了 国土交通省の学科・実地試験を受験 合格後、技能証明書に「計器飛行証明」を追加登録
免許更新2年ごとに技能確認審査および安全教育講習を受講

計器飛行証明は、民間航空会社のパイロットをはじめ、自家用ジェットやビジネスフライトの運航を行う人にとって必須です。気象条件に左右されず安全に運航できる操縦士としての信頼を高め、キャリアアップにも直結します。

計器飛行証明が必要な職業/あると有利な職業

必ず必要な職業

あると有利な職業

公式情報/出典

  • 国土交通省 航空局「航空従事者技能証明制度」
  • 航空法 第64条・第70条
  • 航空従事者技能証明事務規程
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