航空運航整備士(こうくううんこうせいびし)とは?
航空運航整備士とは、航空機が安全に飛行できるよう、出発前後の点検・整備・整備記録の確認などを行う国家資格です。航空法第26条に基づく航空従事者資格の一つで、航空整備士の中でも「運航整備業務」に特化した専門職です。航空会社や整備会社の現場で、離陸直前まで航空機の安全状態を確認し、問題があれば即座に対応・整備判断を行います。
一般的な「航空整備士」が工場や格納庫で大規模な整備(定期点検・エンジン整備など)を行うのに対し、航空運航整備士は空港のランプエリアで機体を直接扱う「最前線の整備士」です。エンジン始動前の最終チェック、燃料・油圧・電装系の点検、トラブル発生時の応急整備など、運航直結の重要な任務を担っています。
この資格は、整備士資格を持つだけでは担当できない「運航整備業務」を行うために必要です。航空運航整備士が確認した整備記録と整備状況のサインがなければ、航空機は離陸できません。つまり、運航の安全性と整備の信頼性を最終的に担保する立場にあります。航空会社の整備部門では、この資格を持つ者がリーダーやチーフメカニックとして勤務していることも多く、現場経験が豊富な整備士がステップアップして取得するケースが一般的です。
資格の対象となる航空機は、「飛行機」「回転翼航空機(ヘリコプター)」などの区分ごとに分かれています。試験では、航空機構造、電気・油圧・電子制御、航空法規、安全管理、緊急対応手順などの実務知識が問われます。現場での判断力と安全意識が極めて重要なため、実地審査の比重が高いのも特徴です。
航空運航整備士を取るために必要なこと・試験概要
| 根拠法令 | 航空法 第26条、航空従事者技能証明等に関する省令 |
|---|---|
| 所管官庁 | 国土交通省 航空局(JCAB) |
| 受験資格 | 航空整備士資格を取得済み、または国交省指定の運航整備課程を修了した者 |
| 試験内容 | 学科試験(航空機構造、電装系、航空法規、安全管理)および実地試験(点検作業、記録、運航判断など) |
| 試験方式 | 筆記+実地(技能審査) |
| 合格率 | 約60〜70%(航空整備士資格保有者に限る) |
| 資格取得までの流れ | 航空整備士資格を取得(機体・電装などの区分) 実務経験または指定教育機関での運航整備課程を修了 航空運航整備士試験(筆記・実地)を受験 合格後、技能証明書に「運航整備士」資格を追加登録 実務従事後、定期的な更新講習を受講 |
| 免許更新 | 5年ごとに講習および再確認試験あり |
航空運航整備士は、航空会社の整備現場や地方空港、整備工場で不可欠な国家資格です。航空機の安全運航を現場レベルで支える技術職として、整備士キャリアの中でも最前線かつ高責任な立場に位置づけられています。
航空運航整備士が必要な職業/あると有利な職業
必ず必要な職業
あると有利な職業
公式情報/出典
- 国土交通省 航空局「航空従事者技能証明制度」
- 航空法 第26条
- 航空従事者技能証明事務規程

