浄化槽設備士とは?
浄化槽設備士は、家庭・事業所・公共施設などに設置される浄化槽の施工・維持管理に関する専門知識と技能を証明する国家資格です。下水道未整備地域では生活排水を適切に処理するために浄化槽が不可欠であり、その性能は設置工事の質によって大きく左右されます。浄化槽設備士は、図面の読み取り、施工計画、安全管理、配管施工、機器据付、構造・法令遵守など、施工の中心的役割を担います。
近年は水環境の保全が社会的に重要視され、浄化槽の高度処理方式や IoT を利用した遠隔監視など、技術の高度化が進んでいます。そのため、浄化槽設備士は単なる“取り付け作業者”ではなく、環境基準・法令・衛生管理を理解した専門技術者としての責務が求められます。特に浄化槽法では、一定規模の工事を行う際には専任の浄化槽設備士を置くことが義務づけられており、事業者にとって必須の配置資格となっています。
また、この資格は浄化槽工事業者の登録要件に含まれており、浄化槽の設置・補修工事を行う建設会社、設備会社、水回り工事会社などにおいて、技術者の確保が常に求められています。そのため、建設業界・水道設備業界では求人ニーズが非常に高い資格です。
浄化槽設備士になるためには「実務経験」と「指定講習(技術講習)」が必要で、講習修了後に行われる試験(学科・実地)に合格すると資格を取得できます。専門的な配管知識や施工管理、浄化槽設備の構造理解などが求められるため、設備工事経験者のステップアップ資格として人気があります。
浄化槽設備士の試験概要
| 根拠法令 | 浄化槽法に基づく国家資格。 浄化槽工事業の登録に必要な専任技術者資格。 |
|---|---|
| 所管官庁 | 国土交通省・環境省(試験実施:日本環境整備教育センター) |
| 受験資格 | 一定の実務経験が必要(設備工事・建築・土木・配管など)。 指定講習(技術講習)を受講後、学科・実地試験を受験。 |
| 試験内容 | 学科試験(浄化槽構造、施工法、配管、電気、法規)+実地試験(施工図作成、施工計画、安全管理、材料知識)。 実地では施工経験に基づく理解が問われる。 |
| 合格率 | 学科・実地ともに40〜50%前後(年度により変動) |
| 資格取得までの流れ | 実務経験 → 指定講習受講 → 学科試験 → 実地試験 → 合格 → 浄化槽設備士登録 |
| 活動範囲 | 戸建住宅・集合住宅・商業施設・工場・公共施設の浄化槽設置工事。 設備工事会社、建設会社、水道工事会社、浄化槽管理会社など。 |
| 更新 | 更新なし |
| 出典 | 国土交通省「浄化槽法」 日本環境整備教育センター「浄化槽設備士 技術講習」資料 |
Q&A(よくある質問)
Q. 浄化槽管理士とどう違う?
A. 浄化槽管理士は“保守点検”、浄化槽設備士は“施工・設置”の専門職です。
役割が明確に分かれており、工事を行う会社は設備士が必須です。
Q. 指定講習は必ず受ける必要がある?
A. はい、浄化槽設備士は講習修了が受験の前提です。
講習では実技・施工図・法規など実務的内容が学べます。
Q. どんな人に向いている資格?
A. 設備工事・配管工事・水道工事の経験がある人に最適です。
施工管理の知識を取り入れたい人のステップアップにも向いています。
浄化槽設備士が必要な職業/あると有利な職業
◆ 必ず必要な職業
- ビルメンテナンススタッフ(浄化槽修繕・点検に従事する場合)


