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自動車検査員(じどうしゃけんさいん)とは?
自動車検査員は、国の代わりに「自動車の完成検査(いわゆる民間車検)」を行うために必要な国家資格です。
指定自動車整備事業(民間車検工場)において、整備後の自動車が保安基準に適合しているかどうかを最終確認し、合否を判定する権限を持つ唯一の専門職です。
単なる整備作業ではなく、道路運送車両法に基づく厳格な検査基準を理解し、法令・点検・計測機器の扱いに習熟している必要があります。
そのため、二級整備士としての実務経験を積んだ上で、国交省指定の講習を修了しないと登録できないという、実務性の高い資格です。
自動車ディーラー・整備工場では常に需要があり、検査員の有資格者がいることで工場が「指定工場」として認可を受けられるため、キャリア価値も非常に高い資格です。
自動車検査員の試験概要
| 根拠法令 | 道路運送車両法および関係省令に基づく国家資格。 指定自動車整備事業(民間車検)における完成検査を行うために必要な制度。 |
|---|---|
| 所管官庁 | 国土交通省(運輸局) |
| 受験(受講)資格 | 二級自動車整備士の資格を保有していること。 かつ、整備実務経験2年以上。 条件を満たすと「自動車検査員教習」を受講できる。 |
| 講習内容 | ・道路運送車両法・保安基準 ・完成検査方法(外観・排ガス・ブレーキ等) ・実技(完成検査機器の使用) ・適合判定の記録・報告方法 |
| 試験内容 | 筆記試験のみ(教習修了時に実施)。 法規・保安基準・検査手順に関する知識が中心。 |
| 合格率 | おおむね80〜90%と比較的高いが、整備実務経験と法規理解が不可欠。 ※教習を修了している人のみ受験するため高めに出る。 |
| 資格取得までの流れ | 二級整備士取得 → 整備実務2年以上 → 自動車検査員教習受講 → 修了試験合格 → 検査員として登録。 |
| 更新 | 更新制度なし。ただし、保安基準や検査方式の変更にあわせて継続的な知識更新が求められる。 |
| 留意点 | 検査員は完成検査の最終責任を負うため、ミスが許されない。 法令遵守・記録管理・検査精度が強く求められる専門職。 |
自動車検査員のよくある質問(Q&A)
Q. 二級整備士を持っていないと受講できませんか?
A. できません。自動車検査員教習の受講資格に「二級整備士+実務経験2年以上」が必須です。
Q. どの整備工場でも検査員は必要?
A. いいえ。完成検査を行う「指定工場(民間車検工場)」に必置で、認証工場には必須ではありません。
Q. 自動車検査員は転職に有利ですか?
A. 非常に有利です。検査員がいないと指定工場の認可が取れないため、ディーラー・大手整備工場での需要は高いです。
Q. 仕事は検査だけですか?
A. 主業務は完成検査ですが、整備指導や品質管理、書類作成を兼務することもあります。
自動車検査員が必要な職業/あると有利な職業
1. 必ず必要な職業
- 自動車整備士(指定工場で完成検査を行う場合)
2. あると有利な職業
- 自動車ディーラー整備スタッフ
- 自動車検査場スタッフ
公式情報/出典
- 国土交通省「道路運送車両法」
- 地方運輸局「自動車検査員教習実施要領」


