建築設備検査資格者講習修了者とは?
建築設備検査資格者講習修了者とは、建築基準法に基づき、特定建築物の 建築設備定期検査(換気・給排水・照明・避難設備など)を行うために 必要な知識と技能を身につけた技術者を指します。国土交通大臣が認めた 登録講習機関が実施する講習と修了考査に合格することで、 「建築設備検査資格者」として建築設備の安全性を評価・報告できるようになります。
建築設備の不備は、火災時の煙の充満や避難遅れ、給排水設備の事故など、 建物利用者の生命に直結します。そのため、一定規模以上の建物については 専門知識を持つ技術者による定期検査が義務づけられており、 その中核を担うのが建築設備検査資格者講習修了者です。
なお、この資格は国家試験ではなく、建築基準法に基づく法定講習修了資格です。 しかし、建築設備定期検査の実務では実質的に「必須の資格」として扱われており、 ビルメンテナンス業界や建築設備コンサルタント会社などで高く評価されます。
建築設備検査資格者講習修了者の講習概要
| 根拠法令 | 建築基準法および関連政省令に基づく法定講習。 特定建築物の建築設備定期検査を行う者の資格要件のひとつとして位置づけられている。 |
|---|---|
| 所管官庁 | 国土交通省(住宅局・建築指導関係部局)。 |
| 講習実施団体 | 国土交通大臣の登録を受けた講習機関 (例:建築設備・昇降機関係の公益法人・一般財団法人など)。 |
| 受講資格 | 建築設備・電気設備・機械設備などに関する実務経験を有する技術者が対象。 建築士・電気工事士・管工事施工管理技士などの有資格者は、実務経験要件が 緩和されることが多い。 |
| 講習内容 | 建築基準法・関係法令、建築設備の構造と性能、換気・排煙・給排水・照明設備の 点検方法、報告書作成の実務などを集中的に学ぶ。 建物火災時の挙動や避難安全性能、設備の劣化診断など、実務に即した内容が中心。 |
| 修了考査 | 講習終了時に筆記試験(択一・記述式)を実施。 一定以上の得点を満たした者に「建築設備検査資格者講習修了証」が交付される。 |
| 日程・実施頻度 | 講習期間はおおむね数日程度(例:3〜4日)で、主要都市を中心に年数回実施。 定員制のため、ビル管理会社などでは計画的な受講が求められる。 |
| 受講料の目安 | 数万円台後半〜十数万円程度(テキスト代・修了考査料を含む)。 受講料は講習機関や開催地によって異なる。 |
| 資格の有効期限・更新 | 修了証自体には有効期限が定められていない場合が多いが、 法改正や技術基準の改定に対応するため、定期的なフォロー講習の受講が推奨される。 |
| 資格取得までの流れ | 建築設備・ビル管理などの実務経験を積む → 登録講習機関の「建築設備検査資格者講習」に申込み・受講 → 修了考査に合格し、講習修了証の交付を受ける → 特定建築物の建築設備定期検査業務に従事。 |
建築設備検査資格者が必要な職業/あると有利な職業
1. 必ず必要な職業
- 建築設備検査員(特定建築物の建築設備定期検査を担当する場合)
2. あると有利な職業
- ビルメンテナンススタッフ(大型商業施設・オフィスビルの設備管理)
- 消防設備技士(建物設備の総合的な保守・点検に携わる場合)
建築設備検査資格者講習修了者に関するQ&A
Q. 建築設備検査資格者講習修了者は国家資格ですか?
A. いいえ、国家試験ではなく建築基準法に基づく法定講習修了資格です。 ただし、特定建築物の建築設備定期検査を担当するための必須要件とされており、 実務上は国家資格に近い重要度を持つ資格と考えてよいでしょう。
Q. ビルメンテナンスの仕事をしていなくても受講できますか?
A. 受講には建築設備やビル管理などに関する一定の実務経験が求められます。 設備工事会社・設計事務所・建築コンサルタントなどでの経験も対象になることが多いため、 自分の経歴が該当するかどうかは講習機関の募集要項で確認しましょう。
Q. 難易度はどのくらいですか?
A. 講習形式で基礎から解説してもらえるため、純粋な試験としては 難易度2〜3程度(中くらい)と考えてよいでしょう。 ただし、建築設備や建築法規の基礎知識がないと内容が難しく感じられるため、 事前に関連書籍で予習しておくと安心です。
Q. どんなキャリアアップにつながりますか?
A. 大規模ビル・商業施設・病院などを管理するビルメンテナンス会社では、 建築設備検査資格者を配置することで、法定点検を自社で完結できるようになります。 そのため、資格保有者は設備管理部門の中核人材・責任者候補として 評価されることが多く、昇進・転職の際にも強い武器になります。
公式情報/出典
- 建築基準法および建築基準法施行令(建築設備定期検査に関する規定)
- 国土交通省 告示「建築設備検査資格者講習」に関する定め
- 登録講習機関の講習案内資料・カリキュラム概要 など


