運ぶ・支える仕事
定期運送用操縦士とは?
定期運送用操縦士は、航空会社が運航する定期便(旅客機や貨物機)で機長を務めるために必要となる、操縦士資格の最上位クラスです。いわゆる「エアラインパイロットの頂点」と言える資格で、安全運航の最終責任を負う立場になります。
操縦士資格には、自家用操縦士・事業用操縦士・定期運送用操縦士といった段階があり、その中でも定期運送用操縦士は、高度な操縦技術・運航管理能力・緊急時の判断力が総合的に求められます。天候の急変や機材トラブルなど、リスクのある状況でも乗客の命を預かって最善の判断を下す必要があります。
そのため、資格取得までには長い時間をかけて飛行経験を積み、航空法規・航空気象・航空工学・運航理論などの難しい学科をクリアしなければなりません。パイロットとしての知識・技量・体力・メンタルのすべてが問われるプロフェッショナル資格です。
この資格を取得すると、国内線・国際線の機長としてキャリアを築けるだけでなく、将来的には運航訓練教官や安全管理担当、管理職パイロットなど、多様なキャリアパスが広がります。「空の仕事」の中でもトップレベルの責任とやりがいを持ったポジションを目指す人に向いている資格です。
定期運送用操縦士の試験概要
| 根拠法令 |
航空法および航空法施行規則に基づく航空従事者国家資格。 定期航空運送事業における安全運航を確保するため、機長として必要な知識・技能を 満たすことを証明する制度。 |
|---|---|
| 所管官庁 |
国土交通省 航空局(JCAB) 学科・実地試験は航空局または指定試験機関が実施。 |
| 種類 |
定期運送用操縦士(航空従事者技能証明) ※旅客機・貨物機の機長として定期便を運航するための最上位資格。 |
| 受験資格 |
・事業用操縦士技能証明の取得済み ・総飛行時間1500時間以上(機長としての経験を含む) ・計器飛行(IFR)経験が一定以上必要 ・航空身体検査(第1種)に適合していること ※航空会社養成課程を経て受験するのが一般的。 |
| 試験内容 |
【学科試験】航空法規/気象/運航理論/航空工学/無線通信 など 【実地試験】実機またはシミュレーターによる操縦技能試験 ・緊急操作(エンジン停止時の対応・異常姿勢回復) ・計器飛行操作 ・CRM(航空機乗務員チームマネジメント) 航空会社の安全基準レベルの判断力が求められる。 |
| 難易度 |
合格率は高めだが、到達までの訓練ハードルが非常に高い。 事業用操縦士→航空会社副操縦士→一定経験後に受験という流れが一般的で、 専門性・責任の重さともに国内トップクラスの難易度。 |
| 資格取得までの流れ |
(1)操縦訓練課程 → 自家用操縦士 → 事業用操縦士 (2)航空会社入社 → 副操縦士として乗務 (3)飛行時間・訓練要件を満たす (4)定期運送用操縦士の学科・実地試験に合格 (5)機長昇格訓練を経て旅客便の運航に従事 |
| 更新 |
技能証明の更新は定期的な訓練(リカレントトレーニング)により維持。 シミュレーターでの定期審査、航空身体検査(1年以内)が必須。 |
定期運送用操縦士に関するQ&A
Q1. 事業用操縦士との違いは?
A. 事業用は遊覧・不定期便など。定期運送用は定期便の機長に必要な最高位資格です。
Q2. 英語力は必要?
A. 国際線ではICAO英語証明が必要。無線交信のため高度な航空英語力が求められます。
Q3. 高校卒業からの一般的な流れは?
A. 航空大学校・航空会社養成課程 → 事業用操縦士 → 副操縦士 → 定期運送用操縦士という長いステップです。
定期運送用操縦士が必要な職業/あると有利な職業
必ず必要な職業
- パイロット(定期便機長)
あると有利な職業
- 航空会社の運航管理・安全管理担当
公式情報/出典
- 国土交通省 航空局
- 航空法施行規則


