狩猟免許とは?
狩猟免許は、鳥獣の保護及び管理並びに狩猟の適正化に関する法律に基づき、野生動物の捕獲を適正に行うために必要な国家資格(国家免許)です。野生鳥獣は生態系や農林業に影響を与えるため、個体数の管理は国・自治体にとって重要な業務となっています。狩猟免許はその一翼を担い、正しい知識・安全な方法で狩猟を行うための最低限の技能を保証する制度です。
免許には「網猟」「わな猟」「第一種銃猟」「第二種銃猟」の4種類があり、扱える道具や狩猟方法が異なります。とくに銃猟は厳しい身体検査・講習・技能試験をクリアする必要があり、事故を防ぐための安全管理能力が強く求められます。また、狩猟免許を取得した後も、猟期や区域、捕獲可能な鳥獣の種類は法令で厳格に定められており、違反すれば重い罰則の対象になります。
近年は、農作物への獣害対策や、害獣管理(イノシシ・シカ等)の需要が増えており、狩猟免許は自治体・農林業・環境系の現場で必要とされる機会が広がっています。さらに、地域おこし協力隊や環境保全活動の一環として若年層の取得者も増えており、「環境保全」「地域支援」「食文化(ジビエ)」など複数の分野で活かせる資格として注目されています。
狩猟は自然を相手にする仕事であるため、法律・倫理・安全の理解が欠かせません。狩猟免許は、ただ獲物を捕る資格ではなく、自然に向き合い、地域の環境管理に責任を持つための国家資格といえます。
狩猟免許の試験概要
| 根拠法令 | 鳥獣の保護及び管理並びに狩猟の適正化に関する法律(鳥獣保護管理法)。 野生鳥獣を適正に捕獲し、資源管理と安全確保を行うため国が定める国家免許制度。 |
|---|---|
| 所管官庁 | 環境省(政策)/都道府県(試験実施・免許交付)。 実務は都道府県知事が担い、講習・試験・更新手続きを行う。 |
| 種類 | ・第一種銃猟免許(散弾銃・ライフル) ・第二種銃猟免許(空気銃) ・網猟免許 ・わな猟免許 ※扱える道具により資格区分が分かれる。 |
| 受験資格 | ・年齢20歳以上(銃猟)/18歳以上(網・わな) ・視力・聴力・色覚などの身体条件 ・精神疾患・薬物・アルコール依存症等の該当がないこと ・一定の犯罪歴がある場合は不可 ※都道府県による事前講習受講が義務付けられるケースが多い。 |
| 試験内容 | 【適性試験】 ・視力・聴力・運動能力・反射能力などの身体機能を確認 【筆記試験】 ・鳥獣保護管理法・銃刀法・狩猟方法 ・安全管理(誤射防止・装薬管理) ・鳥獣の生態・識別方法 【実技試験】 ・銃猟:安全な銃の扱い(分解・装填・方向管理・作法) ・わな猟:くくりわな・箱わな等の設置と作動確認 ・網猟:網の扱いと展開方法 ※銃猟の場合は別途、猟銃所持許可申請が不可欠(公安委員会による審査)。 |
| 難易度 | 筆記は基本知識が中心で学習すれば合格可能。 実技は安全操作の理解が重要で、特に銃猟は緊張感があり難易度が高い。 免許取得後も安全講習・射撃講習が必須で、運用に継続的な学習が必要。 |
| 資格取得までの流れ | (1)事前講習の受講(任意だがほぼ必須) (2)都道府県の狩猟免許試験(適性・筆記・実技) (3)合格後、免許交付申請 → 狩猟免許取得 (4)猟期ごとに狩猟者登録(狩猟税の納付など) ※銃猟は別途、警察の「猟銃所持許可」を取得する必要がある。 |
| 更新 | 免許自体は有効期間なし(終身)。 ただし、狩猟を行う際は毎年の「狩猟者登録」が必須。 また銃猟は「所持許可」の更新(3年ごと)が必要で、講習・技能試験を伴う。 |
狩猟免許に関するQ&A
Q1. 狩猟免許を取ればすぐに銃が持てますか?
A. いいえ。銃猟は別途「猟銃所持許可」(警察)が必要で、最も厳しい審査があります。
Q2. 狩猟はどこでもできる?
A. できません。区域・猟期・捕獲可能な動物は法令で厳格に決まっています。
Q3. 狩猟免許はどれを取るのが初心者向けですか?
A. わな猟が最も取りやすく、若い人の取得が増えています。
狩猟免許が必要な職業/あると有利な職業
必ず必要な職業
- 有害鳥獣捕獲員
- 猟師(プロハンター)
あると有利な職業
公式情報/出典
- 環境省(鳥獣保護管理)
- 各都道府県 環境・自然保護部局


