環境とエネルギーの仕事
臭気判定士とは?
臭気判定士は、悪臭防止法で定められた唯一の「におい」に関する国家資格で、臭気の測定・分析・評価を専門に行う技術者です。工場や飲食店、廃棄物処理施設など、事業活動に伴う悪臭が問題となる現場で、原因の特定や改善提案を行い、地域の快適な生活環境を守る役割を担っています。
においは目に見えず、数値化が難しいため、臭気判定士は「三点比較式臭袋法(におい袋法)」などの特殊な測定技術を使い、臭気指数を科学的に評価します。また、化学的分析だけでなく、官能評価(嗅覚による測定)が不可欠であり、嗅覚検査に合格した“においのプロフェッショナル”として認められます。
悪臭トラブルは住民クレームや行政指導につながることが多いため、企業が自主的に臭気管理を行う場面も増えており、臭気判定士は環境コンサルタント、工場の品質管理、自治体の環境部門など幅広い現場で活躍しています。環境問題への関心の高まりとともに需要が上昇している国家資格です。
においの測定は、機械では判断できない“人の嗅覚”が中心となるユニークな業務で、自然環境・都市環境の改善に直接貢献できる実践的な資格と言えます。
臭気判定士の試験概要
| 根拠法令 | 悪臭防止法および関連省令に基づく国家資格。 悪臭の測定・評価を行う専門家として国が資格制度を設けている。 |
|---|---|
| 所管官庁 | 環境省。 試験実施機関:一般社団法人 におい・かおり環境協会(委託機関)。 |
| 種類 | 臭気判定士(単一の国家資格)。 ※嗅覚検査(基準嗅力検査)と筆記試験に合格した者が取得できる。 |
| 受験資格 | 年齢・学歴の制限なし。誰でも受験可能。 ただし、嗅覚が正常であることが必須。 ※基準嗅力検査に合格しなければ筆記試験に進めない。 |
| 試験内容 | 【基準嗅力検査(嗅覚試験)】 ・5種類の基準臭液を嗅ぎ、においの識別能力を測定 ・嗅覚異常がある場合は受験不可 【筆記試験】 ・悪臭防止法と関連法規 ・におい物質(アンモニア・硫黄化合物など)の知識 ・測定方法(臭袋法、直接嗅覚測定法など) ・臭気指数の算出方法 ・大気環境の基礎知識 【実務的理解】 ・臭気苦情処理の手順 ・工場・施設における改善対策 ・生活環境保全の基礎知識 |
| 難易度 | 合格率は約20〜35%で、環境系国家資格としては中程度の難易度。 法令・化学・測定技術の幅広い知識が必要で、独学ではやや難しい。 特に「臭気指数の計算」や「化学物質の性質」などが得点差になりやすい。 |
| 資格取得までの流れ | (1)基準嗅力検査 → 合格 (2)筆記試験 → 合格 (3)登録申請 → 臭気判定士として認定 (4)官能試験(臭袋法)を扱う業務に従事可能 |
| 更新 | 5年ごとに登録更新が必要。 嗅覚の維持・健康状態の確認、手数料の納付などが求められる。 ※嗅覚低下が認められた場合、更新できない場合がある。 |
臭気判定士に関するQ&A
Q1. 嗅覚が弱いと受験できませんか?
A. 受験できません。基準嗅力検査に合格しなければ筆記試験には進めません。
Q2. 化学が苦手だと難しい?
A. 化学物質の性質や濃度の計算があるため、一定の理解は必要です。
Q3. どんな現場で活躍しますか?
A. 工場・飲食店・下水処理場・環境コンサル会社など、臭気対策が必要な場所すべてです。
臭気判定士が必要な職業/あると有利な職業
必ず必要な職業
- 臭気測定業務を行う技術者
あると有利な職業
- 環境コンサルタント
- 自治体職員(環境部門)
公式情報/出典
- 環境省(悪臭防止法)
- 一般社団法人 におい・かおり環境協会


