環境とエネルギーの仕事
公害防止管理者とは?
公害防止管理者は、「特定工場における公害防止組織の整備に関する法律」にもとづく国家資格で、大気汚染・水質汚濁・騒音・振動・ダイオキシン類などの環境負荷を適切に管理する“事業場の公害防止の専門責任者”です。工場や事業所において、環境基準を守りながら操業を行うための中心的役割を担い、法令遵守・設備管理・異常時対応など、極めて実務性の高い業務を担当します。
公害防止管理者は、大気・水質・騒音振動・ダイオキシンなど複数の試験区分に分かれており、工場が扱う設備や対象物質に合わせて必要な区分を取得します。とくに大気・水質は工業系の事業所で必須となることが多く、化学工場・食品工場・エネルギー施設・金属加工業など多様な産業で需要が非常に高い資格です。
企業の環境コンプライアンス意識が強まる中、ISO14001、SDGs対応、環境監査など、環境管理は事業運営の重要な柱となっています。公害防止管理者はこうした体制の根幹を支える存在であり、環境・安全・品質の3要素を統合的に理解できる技術者としてキャリアの幅が大きく広がる資格です。
上位資格に公害防止主任管理者(統括責任者)が存在しますが、現場の第一線で実務を担う公害防止管理者の役割は欠かせず、企業が最も求める環境系国家資格のひとつと言えます。
公害防止管理者の試験概要
| 根拠法令 | 特定工場における公害防止組織の整備に関する法律。 特定工場では区分に応じた公害防止管理者を選任する義務がある国家資格。 |
|---|---|
| 所管官庁 | 経済産業省・環境省。 試験実施:一般社団法人 産業環境管理協会(委託機関)。 |
| 種類(試験区分) | ・大気関係 第1種〜第4種 ・水質関係 第1種〜第4種 ・騒音・振動関係 ・ダイオキシン類関係 ・公害防止主任管理者(上位資格) ※事業場の種類・規模に応じて必要区分が異なる。 |
| 受験資格 | 原則として受験資格なし。誰でも受験可能。 ※主任管理者とは異なり、経験要件は不要。 |
| 試験内容 | 【科目例(大気・水質共通)】 ・環境関連法規(大気汚染防止法、水質汚濁防止法 等) ・測定・分析(ばいじん、硫黄酸化物、COD、SS 等) ・設備運転管理(集じん装置、排ガス処理、排水処理) ・化学・物理基礎(物質収支、反応、流体) 【区分ごとの試験特徴】 ・第1種:上位区分、難易度が最も高い ・第4種:基礎的で比較的受けやすい ・騒音振動:機械音響の基礎知識が中心 ・ダイオキシン:法令・設備管理が中心 |
| 難易度 | 区分により難易度は大きく異なる。 第1種は合格率10~20%台の難関、下位区分は30~50%台と比較的合格しやすい。 法令・数学・化学・設備管理を幅広く学習する必要がある。 |
| 資格取得までの流れ | (1)試験区分の選択 (2)国家試験(年1回) (3)合格 → 登録 (4)事業場で公害防止管理者として選任可能 (5)必要に応じて主任管理者へステップアップ |
| 更新 | 更新制度なし。 ただし法令改正に対応するため継続的な学習が必要。 企業では研修受講が推奨される場合が多い。 |
公害防止管理者に関するQ&A
Q1. どの区分から受験するのが良い?
A. 初心者は第4種(大気・水質)が最も入りやすく、基礎が身につきます。
Q2. 資格を取ると何ができる?
A. 特定工場で公害防止管理者として選任され、環境管理の中心的役割を担えます。
Q3. 化学が苦手でも受かりますか?
A. 可能ですが、物質収支・基礎計算など化学的知識は避けられません。
公害防止管理者が必要な職業/あると有利な職業
必ず必要な職業
- 化学工場スタッフ(公害防止管理者)
あると有利な職業
公式情報/出典
- 産業環境管理協会 公害防止管理者国家試験
- 特定工場における公害防止組織の整備に関する法律


