ガンマ線透過写真撮影作業主任者(がんませんとうかしゃしんさつえいさぎょうしゅにんしゃ)

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ガンマ線透過写真撮影作業主任者(がんませんとうかしゃしんさつえいさぎょうしゅにんしゃ)とは?

ガンマ線透過写真撮影作業主任者は、「労働安全衛生法」に基づく国家資格で、放射性同位元素(RI)から放出されるガンマ線を利用した非破壊検査を行う際に、安全管理を担う責任者に必要な資格です。 非破壊検査とは、溶接部や金属部品などを壊さずに内部の欠陥や強度を調べる技術で、建設や造船、エネルギープラントなどの品質保証に欠かせません。その中でもガンマ線は透過力が非常に強いため、厚い鋼材や大型構造物の検査に用いられています。強力な放射線を扱うため、作業現場では主任者を必ず選任し、作業者や周囲の人々を放射線被ばくから守ることが法律で義務付けられています。

主任者の役割は、放射線源(例えばコバルト60やイリジウム192など)の管理、照射条件の設定、作業エリアの立入規制、遮へい設備の点検、個人線量の測定、異常時の緊急対応まで多岐にわたります。ガンマ線は見えない・感じられない性質を持つため、正しい測定と厳格な手順管理が安全確保の鍵となります。さらに、検査対象物や環境条件に応じた最適な照射設計を行うことも主任者の重要な業務です。

ガンマ線透過検査は社会インフラの安全性を支える要であり、特に橋梁や配管、圧力容器といった構造物の寿命評価や事故防止に直結しています。主任者は単なる技術者ではなく、現場全体を統率し、被ばくを最小限に抑えつつ必要な検査品質を確保するリーダー的存在です。資格を取得することで、非破壊検査分野における安全管理の中心人物として活躍できます。

ガンマ線透過写真撮影作業主任者の試験概要

根拠法令 労働安全衛生法に基づく国家資格。
ガンマ線源(イリジウム192・コバルト60など)を使用する非破壊検査において、 放射線被ばく防止と安全管理を行うために選任される資格です。
所管官庁 厚生労働省(試験実施:安全衛生技術試験協会)。
受験資格 年齢・学歴・実務経験の制限なし。
誰でも受験できます。
試験内容 ・ガンマ線の性質(減衰、線質、線量率)
・放射性同位元素(RI)の特徴と管理方法
・遮へい計算、安全距離の算定
・放射線の生体影響(急性障害・長期影響)
・ガンマ線装置・撮影器材の構造と安全装置
・非破壊検査における撮影条件とフィルム特性
・放射線測定・管理区域の設定
・労働安全衛生法令(電離放射線健康診断、被ばく管理)
実務中心の内容で、計算問題も多めです。
試験形式 学科試験のみ(マークシート式)。
実技試験はありません。
特徴 非破壊検査(溶接部の品質検査など)ではほぼ必須の資格。
エックス線よりも取り扱いが厳格で、法令遵守が重要。
ガンマ線は強力なため、主任者選任が義務化されている現場が多く、 資格手当も高めの傾向があります。

ガンマ線透過写真撮影作業主任者Q&A

Q1. ガンマ線とX線の主任者は何が違う?

・X線主任者=装置で電気的に発生させる放射線を管理
・ガンマ線主任者=放射性同位元素(RI)から自然発生する放射線を管理
ガンマ線は取り扱いリスクが大きく、より高度な管理が求められます。

Q2. どんな現場で必要になる?

主に非破壊検査の現場で使用されます。
・配管や溶接部の内部を撮影する検査
・プラント、造船、橋梁、建設現場など
暗所での線源管理・安全距離の設定など、専門的な判断が必要です。

Q3. 放射線を扱うので危険では?

適切な管理を行えば安全に作業可能です。
資格取得によって「線源の扱い方」「遮へい計算」「測定法」を体系的に学ぶため、 危険性を理解し、安全に作業できるようになります。

Q4. 合格率はどれくらい?

毎年30~35%ほど。
内容は難しいが、過去問を中心に勉強すれば独学で十分狙えます。

Q5. 資格を取るメリットは?

・非破壊検査技術者として大きな強みになる
・線源管理の専門知識が身につく
・資格手当が高い職場が多い
・プラント・建設系の仕事で採用に有利
需要の高い現場系国家資格のひとつです。

ガンマ線透過写真撮影作業主任者が必要な職業/あると有利な職業

必ず必要な職業

あると有利な職業

公式情報/出典

  • 厚生労働省「労働安全衛生法」関連資料
  • 公益財団法人 安全衛生技術試験協会 公表データ

難易度: ⭐️⭐️⭐️⭐️ (難易度4)
※放射線の専門知識が必須であり、合格率は低め。

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