医療とケアの仕事
医療用具等の製造(輸入販売)の責任者技術者(いりょうようぐとうのせいぞう(ゆにゅうはんばい)のせきにんしゃぎじゅつしゃ)とは?
医療用具等の製造(輸入販売)の責任者技術者は、「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(薬機法)」に基づき、医療機器や体外診断用医薬品を製造・輸入販売する際に必ず配置しなければならない責任者です。 国家資格ではなく、学歴・実務経験を満たす人材を事業者が責任者として選任します。 製品の品質保証・安全性管理・法令遵守の中心的役割を担い、製造販売業許可を受けるために不可欠な存在です。
責任技術者は、医療機器メーカーや輸入販売業者において「品質と安全の番人」ともいえる存在です。製品が医療現場で安全に使えるかどうかを見極めるため、開発段階から製造、流通、販売後の市販後調査に至るまで一貫して関わります。特に輸入品の場合、海外の基準と日本の薬機法の両方に適合しているかを確認する必要があり、国際的な視点と高度な専門知識が欠かせません。また、行政からの監査や適合性調査に対応する窓口となるのも重要な役割であり、事業者の信頼性を支える中核人材といえます。医療の安全と産業の健全な発展を両立させるために不可欠な資格です。
医療用具等の製造(輸入販売)の責任技術者の概要
| 資格区分 | 法定の管理ポジション(国家資格ではない) |
|---|---|
| 根拠法令 |
医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(薬機法)。 医療機器の製造業許可・製造販売業許可を取得する際に、 企業は「責任技術者(責任者)」を選任する義務がある。 |
| 役割 |
・製造または輸入医療機器の品質管理 ・GQP(品質管理)体制の統括 ・製造工程の適正管理 ・苦情品・安全性情報の対応 ・製造・輸入に関する薬機法手続きのチェック 実際には「品質保証部の責任者」という位置づけが多い。 |
| 選任要件 |
薬機法で定められた「一定の学歴・実務経験」が必要。 代表的には次のいずれか: ・理系大学(工学・化学・生物・医療系など)卒+実務経験 ・医療機器分野の実務経験(品質・製造・技術)を一定年数 ・薬剤師は要件を満たす扱い |
| 必要な知識 |
・薬機法(製造販売/製造の基準) ・医療機器GQP省令・QMS省令 ・苦情処理/不具合報告制度(不具合報告・回収など) ・製造技術、品質保証の基礎 |
| 更新 | 更新制度なし。選任されている間は継続して責務を負う。 |
| 難易度 |
医療機器の専門知識が必要で難易度は中〜高。 経験者・品質保証のバックグラウンドがあると有利。 |
医療用具等の製造(輸入販売)の責任技術者Q&A
- Q1. 国家資格なの?
-
国家資格ではない。
企業が薬機法に基づいて必ず選任しなければならない「法定管理者」。 - Q2. 誰でもなれる?
-
いいえ。
薬機法の定める学歴・実務経験が必要。
実際には理系出身者や薬剤師、品質保証経験者が多い。 - Q3. どんな企業で必要?
-
・医療機器メーカー(国内製造)
・医療機器の輸入販売企業
・体外診断薬メーカー
製造業許可または製造販売業許可を持つ企業では必須のポジション。 - Q4. 実際の業務は?
-
・製造工程/品質管理の監督
・不具合品の調査と再発防止
・GQP、省令適合の確認
・PMDAや厚労省への手続き管理
・製造所監査(国内外)
安全性・品質の最終責任を持つ役割。 - Q5. 未経験者でも目指せる?
-
実務未経験スタートも可能。ただし次の経験が必要:
・品質保証
・製造工程管理
・設計/技術職
最低数年の実務経験を積んだ後に選任されるケースが多い。
責任者技術者が必要な職業/あると有利な職業
必ず必要な職業
- 医療機器メーカー社員の製造販売責任者
公式情報/出典
- 厚生労働省「薬機法」関連資料
- 医療機器等の製造販売業に関する厚生労働省通知
難易度: ⭐️⭐️⭐️ (難易度3)
※国家試験はなく、学歴と実務経験が必須。高度な専門知識と責任が求められる。


