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船橋当直3級海技士とは?
船橋当直3級海技士(航海)は、500トン以上の船舶に乗り組み、航海士として船橋(ブリッジ)で当直業務を担当できる国家資格です。3級は海技士の中でもプロの航海士としての登竜門であり、本格的に“航海の専門職”として働くための第一歩となる階級です。
3級海技士は、船長や航海長の指示のもとで航海計画を補佐し、操船、船位測定、航路監視、気象確認、機関部との連携など、船の安全運航に直結する幅広い業務を担当します。とくに当直中は、夜間航行・悪天候・狭水域など、高度な判断が求められる重要な役割を担います。
資格取得には、海上での実務経験または海技教育機関での所定コースの修了が必要で、さらに学科・口述・身体検査など複数の審査を突破しなければなりません。航海法規・操船理論・気象・海図・無線など多岐にわたる専門知識が求められ、「船を動かす専門家」としての責任と技術を備えた人材として認められます。
この資格を取得することで、外航船の航海士、フェリーや貨物船の当直士、海運会社の運航部門など、海上輸送の現場で幅広く活躍できるようになります。海技士の中でも実務と知識のバランスが問われる階級であり、将来的には2級・1級海技士へのステップアップにもつながる重要な資格です。
船橋当直3級海技士の試験概要
| 根拠法令 | 海技士法、船舶職員及び小型船舶操縦者法、海上運送法に基づく国家資格。 船舶の安全運航を確保するため、航海士としての知識・技能・身体条件を国が審査する制度。 |
|---|---|
| 所管官庁 | 国土交通省(海事局) 試験実施:地方運輸局および海技試験センター |
| 種類 | 海技士(航海)3級(船橋当直が可能) ※500トン以上・航行区域内での当直業務を行うことができる階級。 |
| 受験資格 | 【実務経験ルート】 ・船舶での航海当直補助等の乗船履歴(1年以上〜) ・乗船履歴は船種・トン数・航行区域によって要件が異なる 【養成施設ルート】 ・海技大学校・海上技術学校・商船大学などの航海科修了 ・修了コースによって乗船履歴が大幅に短縮される ※身体検査(視力・色覚・聴力など)の基準を満たすことが必須。 |
| 試験内容 | 【学科試験】 ・海文(船舶運用・航海に必要な英語) ・航海(海図、海象・気象、潮汐、航法) ・法規(海上衝突予防法、海上交通安全法など) ・運用(船体構造、荷役、安全管理) 【口述試験(口頭)】 ・操船理論、海図作業の理解、航海計画の立案能力 【身体検査】 ・視力:裸眼または矯正で0.5以上 ・色覚:正常判定 ・聴力・四肢運動能力の確認 【筆記+口述+身体検査を総合評価】し、航海士としての適性を判断する。 |
| 難易度 | 養成課程修了者は比較的有利だが、独学や実務経験のみで受験する場合は難度が高い。 海図・気象・航法などの基礎知識に加えて、実務的な理解が問われるため、 合格には相応の学習時間と経験が必要。 |
| 資格取得までの流れ | (1)乗船履歴または養成施設の修了 (2)身体検査 → 学科試験 (3)口述試験 (4)合格 → 「3級海技士(航海)」として登録 (5)船橋当直航海士として勤務開始 |
| 更新 | 資格自体の更新制度はなし。 ただし、乗船履歴が途絶えた場合、実務復帰のための追加講習や証明書が必要になる場合がある。 海技士として最新の海上法規・航海技術を維持する継続学習が推奨される。 |
船橋当直3級海技士に関するQ&A
Q1. 3級海技士を取ればすぐ航海士になれますか?
A. はい。3級に合格すると500トン以上の船で航海士として当直業務が可能になります。
Q2. 海図の勉強は難しい?
A. 最初は難しいですが、航海術の基礎として必須のため、学校卒業者は習得が早い傾向があります。
Q3. 将来的に船長になれますか?
A. 3級→2級→1級とステップアップすれば、最終的に外航船の船長を目指すことが可能です。
船橋当直3級海技士が必要な職業/あると有利な職業
必ず必要な職業
- 航海士(500トン以上の船舶)
あると有利な職業
- 船長候補(2級、1級へのステップアップ前提)
- 海運会社の運航管理スタッフ
- 港湾運航オペレーター
公式情報/出典
- 国土交通省 海事局
- 地方運輸局 海技試験センター
- 海技大学校・海上技術学校


