建てる・つくる仕事
建築設備士とは?
建築設備士とは、建物の空調・換気・給排水・衛生・電気設備といった「建築設備の専門設計・監理」を行うための国家資格です。建築物は構造・意匠だけでなく、設備計画の良し悪しが快適性・安全性・省エネ性能を大きく左右します。そのため設備分野に特化した高度な知識を持つ専門家として、建設業界で広く求められています。
建築士が建物全体を設計するのに対し、建築設備士は空調負荷計算、配管設計、電気設備設計、エネルギーマネジメントなど設備面の実務を担います。大規模建築物では「建築士+建築設備士」のセットでプロジェクトが進むことも多く、専門職としての価値が高い資格です。
さらに、この資格は設備設計一級建築士の受験要件にもなっており、キャリアアップにも直結します。ゼネコン・設備会社・設計事務所・官公庁など幅広い現場で活かすことができます。
建築設備士の試験概要
| 根拠法令 | 建築士法に基づく国家資格。 建築物に設置される設備の設計・監理に必要な能力を評価するために設けられた制度。 |
|---|---|
| 所管官庁 | 国土交通省/試験実施:建築技術教育普及センター |
| 受験資格 | 建築系・設備系の大学・短大・専門学校卒 または 設備関連の実務経験者。 実務経験のみでも受験可能(年数は学歴により異なる)。 |
| 試験内容 | ① 学科試験 ・建築設備(空調・衛生・電気) ・建築一般(構造・材料・計画) ・法規(建築基準法・消防法など) ② 設計製図試験 設備計画・機器配置図・系統図など、実務能力を問う製図試験。 |
| 難易度 | 合格率:約20〜30%前後(製図が難関)。 |
| 資格取得までの流れ | 学科試験 → 製図試験 → 合格 → 建築設備士として登録。 |
| 更新 | 登録後は5年ごとに講習が必要。設備基準や省エネ法改正への対応のため必須。 |
| 留意点 | 建築設備士資格を持つと、設備設計一級建築士の受験資格が得られる。 建築士との併用で専門性がさらに高まる。 |
必要な職業/あると有利な職業
1. 必ず必要な職業
- 建築設備技術者
2. あると有利な職業
Q&A
Q. 建築士があれば建築設備士はいらない?
A. 建築士は建物全体の設計資格で、設備は専門外です。
大規模設備の専門設計には建築設備士の知識が必須です。
Q. 製図試験は難しい?
A. はい。配管ルート・設備機器の配置など実務力が問われ、ここが最大の難関と言われます。
Q. キャリアアップに有利?
A. 非常に有利です。設備設計一級建築士への登竜門で、設計事務所やゼネコンから高く評価されます。
出典
- 建築士法
- 建築技術教育普及センター「建築設備士」試験案内
- 国土交通省 建築技術者制度資料


