運ぶ・支える仕事
けん引免許とは?(第一種・第二種)
けん引免許は、「750kgを超える被けん引車(トレーラー等)を牽引するため」に必要な国家資格です。 セミトレーラー、フルトレーラー、タンクローリー、車両運搬トレーラー、建設資材トレーラーなど、 物流や建設現場で使用される特殊車両の多くはこの免許が必須になります。
けん引免許は、通常の車両とは運転特性がまったく異なり、 後輪軸を中心に折れ曲がる構造(アーティキュレーション)を持つため、 バック操作・方向変換・狭路通過は高度な技術を必要とします。 特にバック走行は、ハンドル操作が逆方向になるなど独自の感覚が求められ、 「プロ向け免許」と言われる所以となっています。
区分は以下の2つです。
- けん引第一種(けん引1種):貨物・作業車両などの牽引に必要
- けん引第二種(けん引2種):旅客を乗せた特別車両を牽引する場合に必要
とくに貨物輸送分野では、けん引免許を持つドライバーは大型免許と並ぶ高待遇職であり、 企業からの評価も非常に高い傾向があります。
けん引免許を取るために必要なこと
| 受験資格 | けん引一種:18歳以上+普通免許以上 けん引二種:21歳以上+普通免許3年以上 (※深視力検査に合格する必要あり) |
|---|---|
| 試験内容 | ◆ 学科試験(第二種のみ) ・旅客輸送、安全規定、運転マナーなど ◆ 技能試験(または教習所卒検) ・方向変換(バック) ・S字・クランク走行 ・狭路での安全確認 ・停車位置の正確性 ・トレーラー特有のジャックナイフ防止 ・発進時のふらつき・巻き込み防止 |
| 試験方式 | ・学科:マークシート(2種のみ) ・技能:免許センター実技 or 教習所卒業で免除 |
| 合格率 | 教習所経由:60〜80% 一発試験:10〜20%(非常に難しい) |
| 取得までの流れ | 入校 → 技能教習 → 卒検 → 本試験(学科) → 免許交付 |
| 費用の目安 | けん引一種:10〜17万円 けん引二種:20〜30万円 |
| 注意点 | ・バック操作は難易度が高く、独特のハンドル操作が必要 ・けん引する車体の種類で運転感覚が大きく変わる ・企業によっては大型免許+けん引のセット取得が求められる ・高速道路でのけん引走行には特有の危険(蛇行・横風)への理解が必要 |
けん引免許のQ&A
Q. けん引一種があればトレーラーを運転できる?
A. はい。トレーラー牽引にはけん引一種が必須です。
Q. けん引二種はどんなときに必要?
A. 旅客車両を牽引する特殊ケースで必要。一般の物流ではほとんど使いません。
Q. 大型免許は必要?
A. けん引免許単体では牽引車(トラクタ側)の種類が制限されます。大型トレーラー運転には大型免許が必要です。
Q. 一発試験は難しい?
A. 非常に難しいです。バック操作での減点が多く、教習所経由が一般的です。
けん引免許が必要な職業 / あると有利な職業
◆ 必ず必要な職業
- トレーラードライバー(海上コンテナ・車両運搬車・タンクローリーなど)
- 大型資材運搬ドライバー
◆ あると有利な職業
- 物流ドライバー(大型免許とセットで重宝)
- 建設現場スタッフ(重機運搬時)
- 自衛隊車両ドライバー(機材輸送部門)
出典
- 警察庁「運転免許制度」
- 各都道府県警察「けん引免許試験案内」


