高圧室内作業主任者(こうあつしつないさぎょうしゅにんしゃ)とは?
高圧室内作業主任者は、「労働安全衛生法」に基づく国家資格で、潜函(せんかん)工事や圧気シールド工事など、高圧気体を利用する特殊な作業現場において安全管理を行うために必要な資格です。 高圧室内作業とは、地下鉄トンネルや港湾施設の建設などで、作業空間に圧縮空気を送り込み、地下水の流入を防ぎながら工事を進める方法を指します。作業員は高気圧環境下で働くため、減圧症(いわゆる潜水病)や循環器系への負担など、健康リスクが非常に高く、安全対策が不可欠です。そこで、現場には必ず「高圧室内作業主任者」を選任し、安全監督を行うことが法律で義務付けられています。
主任者は、作業環境の圧力管理や換気装置の点検、作業員の交代サイクルや休憩時間の設定など、健康を守るための細かな指示を担います。さらに、作業終了後の減圧手順の管理も主任者の重要な業務です。不適切な減圧は重大な健康被害につながるため、正確な知識と経験が求められます。高圧室内作業主任者は、まさに「見えないリスク」を管理する専門家であり、作業員の命を守る責任を負う存在です。
この資格を有することで、特殊工事分野において安全管理者として活躍することが可能になります。大規模インフラ整備や都市開発の現場では欠かせない資格であり、社会基盤を支える重要な役割を果たしています。
高圧室内作業主任者の試験概要
| 根拠法令 |
労働安全衛生法に基づく国家資格。 高圧気体や減圧装置を備えた高圧室(加圧チャンバー)内で行う作業の安全管理を担当する資格です。 |
|---|---|
| 所管官庁 | 厚生労働省(試験実施:安全衛生技術試験協会)。 |
| 受験資格 |
年齢・学歴・実務経験の制限なし。 誰でも受験できます。 |
| 試験内容 |
・高気圧環境と生体への影響(減圧症など) ・高圧室の構造、設備、作動原理 ・空気圧縮機・バルブ・減圧装置の知識 ・酸素管理、換気、安全衛生対策 ・緊急時対応、救急処置 ・労働安全衛生法および高気圧作業特別教育に関する規則 |
| 試験形式 |
学科試験のみ(マークシート式)。 実技はありません。 |
| 特徴 |
高気圧下での作業は身体への負担が大きく、事故時の影響も大きいため、 専門的な安全管理が必須となる現場で選任されます。 ダイビング、トンネル工事、潜函作業など幅広い分野で重要です。 |
高圧室内作業主任者Q&A
Q1. どんな現場で必要になる資格?
主に以下のような「高気圧作業」を行う現場です。
・トンネル工事(圧気工法)
・潜函作業(ケーソン工法)
・潜水作業の減圧室の管理
・高圧チャンバーを使った医療・研究施設
いずれも高圧環境に伴うリスクが大きく、安全管理者が必須です。
Q2. 生体への影響って何を学ぶの?
高気圧による酸素分圧の変化、窒素の溶解、減圧症(潜水病)など、人体に起こる生理的変化を学びます。
特に減圧手順の理解は主任者の重要業務です。
Q3. 誰でも受験できる?
はい、可能です。年齢・学歴・経験は不問。
ただし実務は高度な管理が必要なため、職場での実地教育が必須となります。
Q4. 難易度はどれくらい?
専門用語が多く「理解型」の試験ですが、範囲はそこまで広くありません。
過去問を繰り返せば合格ラインに十分届きます。
Q5. 潜水士との違いは?
潜水士は「水中作業に従事する人」の国家資格。
高圧室内作業主任者は「高圧環境全体の安全管理者」。
水中作業の減圧管理を担当するため、両方が併用される現場もあります。
高圧室内作業主任者が必要な職業/あると有利な職業
必ず必要な職業
あると有利な職業
公式情報/出典
- 厚生労働省「労働安全衛生法」関連資料
- 公益財団法人 安全衛生技術試験協会
難易度: ⭐️⭐️⭐️⭐️ (難易度4)
※特殊な知識と実技が必要で、安全責任が極めて重い。


