医療とケアの仕事
向精神薬取扱責任者(こうせいしんやくとりあつかいせきにんしゃ)とは?
向精神薬取扱責任者は、「麻薬及び向精神薬取締法」に基づき、向精神薬の製造業者・輸入販売業者・研究機関などに必ず配置しなければならない責任者です。 国家資格ではなく、事業所における選任資格として設けられており、薬剤師などの専門知識を持つ人材が担当します。 向精神薬の適正管理と不正流通の防止を目的とした、法的に重要な役割を担います。
向精神薬取扱責任者は、単に法的に配置が義務づけられているだけではなく、社会的にも非常に重要な役割を持っています。例えば、病院や製薬会社の現場では、薬の使用履歴や在庫管理の厳格なチェックが欠かせません。これを怠ると乱用や横流しといった重大な問題につながるため、責任者の存在は安全の要となります。また、国際的にも薬物管理は厳格化しており、輸入や輸出を行う場合にも法令に基づいた管理体制が求められます。責任者は専門知識だけでなく高い倫理観も必要とされ、信頼性の高い業務運営を支えるキーパーソンといえるでしょう。そのため、配置されることで企業や研究機関の社会的信用度も大きく高まります。
向精神薬取扱責任者の試験概要
| 資格区分 | その他資格(法令で設置義務がある職務) |
|---|---|
| 根拠法令 |
麻薬及び向精神薬取締法(昭和28年法律第14号)に基づく管理責任者。 医療機関・薬局・研究機関で向精神薬の管理・記録・保管を担当する。 |
| 所管機関 | 厚生労働省/都道府県(麻薬取締担当部局) |
| 選任条件 |
・薬剤師、医師、歯科医師などが選任されるのが一般的 ・薬局・病院では薬剤師が兼任するケースが多い |
| 業務内容 |
・向精神薬の購入・保管・払出・廃棄の管理 ・帳簿記録と届出 ・在庫確認と盗難防止措置 ・法令に基づく書類提出 |
| 試験の有無 |
試験は存在しない。 施設(薬局・病院等)内で管理責任者として選任され、都道府県へ届出する制度。 |
| 難易度 | 低め(ただし法令理解は必須)。 |
| 更新 | なし。ただし法改正に応じた運用が求められる。 |
向精神薬取扱責任者Q&A
- Q1. 試験がないのに資格として成り立つの?
-
この資格は「設置義務のある役職」。
医療機関や薬局は向精神薬を扱うために、必ず管理責任者を置く必要がある。 - Q2. 誰でも選任できるの?
-
実務上はほぼ薬剤師が担当。
医師・歯科医師が兼任するケースもあるが、一般職員の選任はほぼない。 - Q3. 何を管理する仕事?
-
・向精神薬の保管
・在庫管理/使用量記録
・帳簿作成
・廃棄手続き
・盗難防止措置
といった「厳重な管理」が求められる。 - Q4. 収入は上がる?
-
資格手当がつく職場もあるが大きな差はない。
ただし薬局では「責任者経験」がキャリアにプラスになる。 - Q5. 向精神薬取扱責任者と麻薬管理者は違う?
-
完全に別。
麻薬管理者は「麻薬及び向精神薬取締法」の中でも麻薬部分を担当し、届出も別。
向精神薬取扱責任者はあくまで向精神薬限定の管理者。
向精神薬取扱責任者が必要な職業/あると有利な職業
必ず必要な職業
- 向精神薬を扱う製造業者・輸入業者・研究機関の責任者
あると有利な職業
公式情報/出典
- 厚生労働省「麻薬及び向精神薬取締法」関連資料
- 医薬品取扱事業者向け 通知・ガイドライン
難易度: ⭐️⭐️⭐️ (難易度3)
※国家試験はないが、薬剤師資格や高度な責任が求められるため。


