旅行業務取扱管理者(りょこうぎょうむとりあつかいかんりしゃ)とは?
旅行業務取扱管理者は、旅行会社(旅行業者)の営業所ごとに必ず選任が義務づけられている法定の責任者で、旅行業法に基づく国家資格です。旅行商品の企画・販売・手配・受託において、約款や運送・宿泊機関との契約、取引条件説明、書面交付、苦情・事故対応などが適正に行われるよう、営業所の実務全体を監督します。無資格で旅行商品を販売できるわけではなく、営業所には有資格者の選任が必須(選任義務)という業務独占的な重要資格です。
資格には「総合旅行業務取扱管理者(海外・国内を扱う)」「国内旅行業務取扱管理者(国内のみ)」の2区分があり、扱える商品の範囲が異なります。総合は国際航空運賃や海外観光資源、査証・保険などもカバーし、海外を含む包括的なリスク管理とコンプライアンスを担えるのが強み。国内は国内運賃料金・JR運賃計算・観光資源・約款運用など、国内旅程の安全・品質管理を中心に実務能力が問われます。
近年はオンライン販売やダイナミックパッケージなど商品形態が多様化し、広告表示や取消料、個人情報保護、旅行者保護の観点での運用ルールが一段と重要になっています。管理者は、カウンター販売だけでなく、Web販売・BtoB手配・受託販売まで横断して法令遵守を徹底する役割を担います。事故・トラブル発生時には、旅行者保護を最優先に、約款や保険、交通機関の代替手配を組み合わせて被害の極小化を図る判断力が求められます。
旅行業務取扱管理者を取るために必要なこと・試験概要
| 根拠法令 | 旅行業法・同施行規則、標準旅行業約款 等 |
|---|---|
| 所管官庁 | 観光庁(国土交通省) |
| 受験資格 | 年齢・学歴等の制限なし(誰でも受験可)。区分は「総合」「国内」。 |
| 試験内容 | 共通:旅行業法・約款・取引書面・旅行者保護・個人情報保護・苦情/事故対応 国内(国内旅行実務):運賃料金(JR・バス・航空・船舶)、観光資源、地理、手配実務 総合(海外/国内実務):国際航空運賃・IATA規則、海外観光資源、旅券・査証・外貨・保険 等 |
| 試験方式 | 筆記試験(択一+記述)。年1回実施(区分別)。 |
| 合格率 | 目安:総合 約10〜15%、国内 約30〜35%(年度により変動)。 |
| 資格取得までの流れ | 出題範囲(法令・約款・実務)を学習(独学/講座)。 区分(総合 or 国内)を選び受験。 合格後、旅行業者の営業所で「旅行業務取扱管理者」として選任。 選任後は取引監督・教育・帳票管理・広告審査・事故対応等を統括。 |
| 免許更新 | 登録制(試験合格は終身有効)。選任中は法定研修・社内教育の受講が推奨。 |
管理者は営業所の「法令遵守の最後の砦」。広告・募集型企画、受注型、手配旅行、受託販売など商品形態ごとに約款と説明・書面交付を適正化し、事故発生時には代替輸送・宿泊や損害保険の適用判断をリードします。総合を取得すれば海外案件を含めた組成・受託に対応でき、法人営業や商品造成の信頼性も大きく向上します。
旅行業務取扱管理者が必要な職業/あると有利な職業
必ず必要な職業
あると有利な職業
公式情報/出典
- 観光庁「旅行業務取扱管理者試験の概要(総合・国内)」
- 旅行業法・同施行規則、標準旅行業約款

