運ぶ・支える仕事
船舶に乗り組む衛生管理者とは?
船舶に乗り組む衛生管理者は、船の上で働く乗組員の健康と船内環境の衛生状態を守るための専門資格です。一定規模以上の船舶では、船員法などに基づき衛生管理者の選任が求められており、海の上の「保健・衛生担当」のような役割を担います。
長期間の航海では、ケガや病気をしてもすぐに病院へ行けないことが多く、船内の食事・飲み水・居住環境が悪いと、集団で体調不良が起きるリスクもあります。そこで、船舶に乗り組む衛生管理者は、感染症や食中毒の予防、船内の清掃・換気・水質管理、簡単な応急処置などについて専門的な知識を身につけ、船長を補佐しながら乗組員の健康を守ります。
講習では、労働衛生・労働生理・船内衛生・食品衛生・救急医療など、医療や保健分野に近い内容を集中的に学びます。「船の中にいる小さな保健室の先生」のようなイメージで、乗組員から頼られる存在になることが求められます。
外航貨物船やフェリー、漁船など、多様な船で必要とされるため、海運業界で長く働きたい人にとってはキャリアの安定にもつながる資格です。海や船が好きで、人の健康を支える仕事に興味がある人には相性の良い資格と言えます。
船舶に乗り組む衛生管理者の講習概要
| 根拠法令 |
船員法および関連政令に基づく講習修了資格。 船内の衛生管理・健康管理を適正に行うため、一定規模の船舶では 衛生管理者の選任が義務づけられている。 |
|---|---|
| 所管官庁 |
国土交通省 海事局 講習は海技教育機構などの指定機関が実施。 |
| 種類 |
船舶に乗り組む衛生管理者(単一区分) ※乗組員の健康管理・船内環境の衛生維持を行う専門資格。 |
| 受講資格 |
・一定期間の海上勤務経験が必要(船員区分に応じて異なる) ・身体検査(船員適性)に適合していること ・全国の講習会場で定員制の場合あり、早期申込が必要 |
| 講習内容 |
【座学】 ・船内衛生管理(清潔度・換気・害虫防除) ・感染症対策(検疫・発生時対応・隔離手順) ・食品衛生(水質管理・食材衛生・調理設備の点検) ・労働衛生・健康管理(熱中症・過労・睡眠環境) 【技能】 ・応急処置・救急蘇生法・船内医療体制の理解 |
| 難易度 |
講習修了型のため試験自体の難易度は高くないが、 衛生・医学系の基礎知識がない場合は事前学習が必要。 船上特有の環境(閉鎖空間・長期航海)を理解しておくと習得が容易。 |
| 資格取得までの流れ |
(1)受講資格の確認 → 受講申込 (2)講習受講(座学・演習) (3)修了考査 → 合格で修了証発行 (4)船舶運航会社の衛生担当として選任され業務開始 |
| 更新 |
法定の更新制度はないが、 船員法改正・衛生基準の変更が頻繁にあるため継続的な研修受講が推奨される。 |
船舶に乗り組む衛生管理者に関するQ&A
Q1. 船長以外でも取得できますか?
A. 可能です。多くの船で航海士や機関士が選任されています。
Q2. 医療資格は必要?
A. 必須ではないが、医学系の知識があると理解しやすい講習内容です。
Q3. どんな船で特に必要?
A. 国際航路の貨物船・客船など長期航海を行う船で需要が高いです。
船舶に乗り組む衛生管理者が必要な職業/あると有利な職業
必ず必要な職業
あると有利な職業
- 船員(通信士・機関士など)
公式情報/出典
- 国土交通省 海事局
- 海技教育機構 講習案内


