建てる・つくる仕事
土地区画整理士とは?
土地区画整理士は、土地区画整理事業における換地計画・権利調整・事業計画づくりを専門的に行う国家資格です。道路や公園、住宅地の配置を見直しながら、もともと土地を持っていた人の権利をできるだけ公平に守りつつ、街全体の安全性や利便性を高めていきます。
土地区画整理事業では、もとの土地をそのまま使うのではなく、形や場所を変えた「換地」として再配置するのが特徴です。その際に、誰の損得も偏らないように評価を行い、合意形成を図りながら進める調整役が土地区画整理士です。法律・都市計画・不動産評価・測量など、幅広い分野の知識が求められます。
実際の現場では、自治体や建設コンサルタントなどと協力しながら、事業計画書の作成、関係者への説明会、図面や資料の作成なども行います。「古い街並みを新しく安全な街へつくり替える」「災害に強い街をつくる」といった長期的なまちづくりに深く関わることができる、やりがいの大きい資格です。
そのため、建設・不動産・行政の世界で専門性を高めたい人や、都市計画・まちづくりの分野でキャリアアップを目指す人にとって重要なポジションを担う資格と言えます。
土地区画整理士の試験概要
| 根拠法令 |
土地区画整理法および関係省令に基づく国家資格。 土地区画整理事業の計画・権利調整・換地手続の適正化を目的とし、事業に携わる 技術者の専門性を確保するために設けられている資格。 |
|---|---|
| 所管官庁 |
国土交通省(都市局都市再生課)/各都道府県(実務登録・相談窓口) 試験は国交省が認定する公益法人が実施。 |
| 種類 |
土地区画整理士(単一区分) ※事業計画・換地・測量・権利関係に精通した専門技術者として認定される。 |
| 受験資格 |
都市計画・土木工学・建築・不動産・測量の実務経験が必要。 ・大学の関連学科卒:実務2〜3年で受験可能 ・専門学校卒:実務4〜5年程度で受験可能 ・無関連学科:より長期の実務経験が必要 ※細かな要件は学歴と職務内容で区分される。 |
| 試験内容 |
筆記試験(多肢選択+記述)形式で実施。 【主な出題範囲】 ・都市計画(用途地域・地区計画・広域計画など) ・土地区画整理の制度理解(事業計画、資金計画) ・換地設計(画地評価、減歩・増歩手続) ・権利関係(借地・借家、不動産登記、補償) ・測量・図面作成(基準点・地積測量・境界) ・関連法令(区画整理法、都市再開発法、宅地造成等規制法など) |
| 難易度 |
合格率:約10〜20%前後。 記述式で換地や権利調整の実務理解が求められるため、現場経験がない受験者には難易度が高い。 都市計画・法令・測量を横断的に学ぶ必要があり、専門資格としてのレベルは高め。 |
| 資格取得までの流れ |
(1)受験資格を満たす実務経験を積む (2)受験申請 → 筆記試験受験 (3)合格後、登録申請を行い「土地区画整理士」として認定 (4)以降、区画整理事業の専門技術者として実務に従事可能 |
| 更新 |
現状、資格自体の更新制度はなし(※2025年時点)。 ただし、自治体や実施主体によっては継続教育(CPD)の受講を推奨。 区画整理法改正・税制改正・都市計画制度の変更に対応するため、最新知識の更新が必要。 |
土地区画整理士に関するQ&A
Q1. 測量士・建築士との違いは?
A. 測量士=測る、建築士=設計するのが中心。一方、土地区画整理士は街の再配置と権利調整をまとめる立場で、都市計画寄りの役割です。
Q2. 文系でも取得できますか?
A. 可能です。ただし実務経験が受験資格に必須なので、自治体や建設コンサル会社などで経験を積む必要があります。
Q3. 独立コンサルとして働けますか?
A. はい。区画整理専門のコンサルタントとして自治体・デベロッパー案件を受託するケースがあります。
土地区画整理士が必要な職業/あると有利な職業
必ず必要な職業
あると有利な職業
- 建設コンサルタント(道路・造成)
公式情報/出典
- 土地区画整理法
- 土地区画整理士試験(指定試験機関資料)


