建てる・つくる仕事
特定建築物調査員とは?(旧:特殊建築物等調査資格者)
特定建築物調査員は、学校・劇場・百貨店・ホテルなど「不特定多数の人が利用する建築物」に対して、法定の定期点検・調査を行う専門資格です。
建築基準法の改正(平成28年6月1日施行)により、旧資格である「特殊建築物等調査資格者」から移行して現在の制度が成立しました。
建物の劣化状況、避難経路、避難施設、構造部分の安全性などを調べ、自治体へ報告する重要な業務を担います。
特定建築物調査員の試験概要
| 根拠法令 | 建築基準法(第12条)に基づく国土交通大臣認定の国家資格。 特定行政庁が指定する建築物の定期調査を行うための制度。 |
|---|---|
| 所管官庁 | 国土交通省/一般社団法人 日本建築防災協会(JBDPA)が講習・修了試験を担当。 |
| 受講資格 | 建築士(一級・二級・木造)などの建築系資格保持者、または建築に関する実務経験者。 講習受講後に「修了試験」に合格することで、国交省への申請が可能。 |
| 試験内容 | 筆記試験(建築基準法・構造・防火避難・設備・調査方法)+実務に基づく記述。 4日間の講習修了後に実施される修了試験に合格する必要がある。 |
| 合格率 | およそ70〜80%(年度により変動)。 建築士保有者は比較的有利とされる。 |
| 資格取得までの流れ | 専門講習受講 → 修了試験合格 → 修了証書取得 → 国土交通大臣へ申請 → 特定建築物調査員証が交付。 |
| 更新 | 5年ごとに更新講習あり。最新の法令や建築安全基準を継続的に習得する必要がある。 |
| 留意点 | 「特殊建築物等調査資格者」は現在使用されない旧名称であり、資格証はすべて「特定建築物調査員」に一本化されている。 業務の公共性が高く、建物用途によって調査項目が細かく規定されているため、正確な理解が求められる。 |
特定建築物調査員が必要な職業/あると有利な職業
1. 必ず必要な職業
- 建築物調査スタッフ(法定点検担当)
2. あると有利な職業
- 建築士
- ビルメンテナンススタッフ
- 建築施工管理技士(法定点検業務を兼務する場合)
よくある質問(Q&A)
Q. 昔の「特殊建築物等調査資格者」と何が違うの?
A. 建築基準法改正により制度が整理され、現在は「特定建築物調査員」に一本化されています。旧資格者は講習・移行手続きで現行資格へ移行しています。
Q. 建築士を持っていないと取れない?
A. 建築士でなくても建築に関する実務経験があれば受講可能です。
Q. 仕事の需要は多い?
A. 法定点検が義務付けられているため需要は安定。ビル管理会社・建築調査会社で需要が高いです。
Q. 独立開業はできる?
A. 可能。建築士資格と併用することで調査事務所を開業するケースが多いです。
公式情報/出典
- 日本建築防災協会(講習・修了試験)
- 建築基準法 第12条(定期報告制度)
- 国土交通省 建築指導課 公表資料


