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有機溶剤作業主任者(ゆうきようざいさぎょうしゅにんしゃ)とは?
有機溶剤作業主任者は、「労働安全衛生法」に基づく国家資格で、塗装・印刷・洗浄・接着などの作業で有機溶剤を使用する現場において、安全を統括する責任者に必要な資格です。 有機溶剤とは、トルエン・キシレン・アセトンなどの揮発性の高い化学物質で、吸い込むと中枢神経や肝臓に悪影響を与えることがあります。 そのため、有機溶剤を扱う作業では主任者の選任が義務付けられています。
主任者は、作業環境の換気・防爆設備の点検、作業員への防毒マスクなどの保護具着用指導、溶剤の保管方法や希釈・混合時の安全確認、健康診断の実施管理などを行います。 特に密閉された室内や塗装ブース内などでは、溶剤蒸気が高濃度になりやすく、火災・爆発の危険もあるため、主任者は法令に基づいた厳密な管理を行う必要があります。
この資格は、塗装業、製造業、印刷業、化学工場、建設業など多くの業界で活用されており、現場で働く人にとって非常に実用的です。 安全衛生に関する知識を体系的に学べるため、労働災害防止のスキルアップとしても評価されています。
有機溶剤作業主任者の試験概要
| 根拠法令 |
労働安全衛生法に基づく国家資格です。 シンナー・トルエン・キシレンなどの有機溶剤を扱う作業では、 中毒・引火・爆発などの危険があるため主任者の選任が義務付けられています。 |
|---|---|
| 所管官庁 | 厚生労働省(講習実施は都道府県労働局が認定した教育機関)。 |
| 受講資格 |
受講にあたり実務経験は不要です。 誰でも講習を受けて修了試験に合格すれば取得できます。 |
| 試験内容 |
・有機溶剤の性質(蒸気圧・引火点・毒性) ・換気・局排(局所排気装置)の基準 ・作業環境測定(濃度測定) ・保護具の選択(防毒マスク・防護手袋) ・応急措置・救急処置 ・火災・爆発の危険性と対策 ・作業主任者の職務内容 |
| 試験形式 |
学科講習+修了試験(マークシート中心)。 合格率は高く、講義内容を理解すれば十分対応できます。 |
| 特徴 |
塗装、印刷、製造工場、クリーニング業、接着作業など幅広い現場で必須の資格。 引火性や中毒リスクがあるため、現場では特に重要な安全資格のひとつです。 |
有機溶剤作業主任者 Q&A
- Q. どんな作業に主任者が必要?
- 塗装作業、印刷工程、脱脂洗浄、接着作業、シンナーを使う工程など、 有機溶剤を扱う業務では主任者の選任が義務付けられています。
- Q. 主任者の主な職務は?
-
・換気・局所排気装置の点検
・作業環境の濃度管理
・保護具(防毒マスクなど)の使用指示
・作業手順の確認と指揮
・健康障害防止教育の実施
・火災・爆発リスクの管理 - Q. 有機溶剤の健康被害はどんなもの?
-
・頭痛、めまい、吐き気、目や喉の刺激
・長期暴露による肝障害・腎障害
・引火による火災リスク
換気不足の環境は特に危険です。 - Q. 修了試験は難しい?
-
難易度は高くありません。
有機溶剤の性質・換気・法令・防護具のポイントを押さえれば合格できます。 - Q. 現場で特に注意すべきポイントは?
-
・換気装置を必ず稼働させること
・マスクの吸収缶(有機ガス用)を正しく使用
・静電気による引火を避けるための対策
・密閉作業を避け、こまめに休憩を取ること
有機溶剤は無色透明で匂いに慣れてしまうため、管理が必須です。
有機溶剤作業主任者が必要な職業/あると有利な職業
必ず必要な職業
あると有利な職業
公式情報/出典
- 厚生労働省「有機溶剤中毒予防規則」関連資料
- 中央労働災害防止協会(講習情報)
難易度: ⭐️⭐️ (難易度2)
※講習修了で取得できるが、現場での安全知識が重要視される。


